イースターですわ



ここは、うさぎ界。
うさぎさんのうさぎさんによるうさぎさんのための世界。
現代日本からポックリ異世界転生した柏木25歳独身は、
貴重な人間体としてうさぎ界の兄妹神にこき使われておりました。

「かしわぎ、今日はお祭りでち」

兄神のチグサうーさーが言いました。
妹神のアンジュうーさーも、

「そうでちゅよ。タマゴをいっぱい用意するんでちゅ」

二人はピンクやベビーブルーのカラフルなタマゴを詰めた籠を手にしています。
それを目にした途端、柏木の脳裏に故郷の記憶が蘇ります。
「イースター」……宗教にかこつけたタマゴ料理やお菓子の販売促進キャンペーン。

「お、お祭りってもしかして復活祭スか？  転生者が元の世界に復活できるチャンス！？」

自己啓発本ばりのポジティブシンキングを発揮した柏木は、ご機嫌で二人のヘアメイクと衣装選びを済ませました。
もうこんなうさぎさんしかいない世界とはおさらばです。
一刻も早く人間の女のいる世界に還りたい、還ろう、還らせてくれ。
柏木はお気にのキャバ嬢の艶姿を瞼の裏に浮かべると、うっすらと涙を流したのでした。

つづかない
 

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